大陸世界は、一見平和に見えるが実は3人の王が争いを繰り広げる世界。世界の覇権を狙って互いの宝を狙っている。
この戦争の裏には、魔王アシュラによって遣わされた四天王の1人玄武が大きく関わっている……。というより、この戦争の元凶は玄武であった。
玄武はこの世界の人間には認知されていないようだ。
唯一事情を知るシルクハットの男、神以外はその名前が出てこない。他の世界の四天王とはここが大きく違う。
おそらく玄武は、キングの鎧、キングの剣、キングの盾、それぞれがこの世界を支配するのに重要なアイテムであり、3つそろえると真の支配者になれるということをそれぞれの王に伝え、そそのかしたのであろう。
冒険者は塔の扉を開くにはクリスタルが必要であり、クリスタルを出現させるには3つのアイテムをそろえる必要がある。その3つのアイテムはそれぞれの王が持ち、簡単には手に入らない。
玄武は自ら手を出さずとも、それぞれの王が冒険者を始末してくれて、塔の封印を解くものは現れない。玄武はまるで亀甲羅に隠れるように、蛇のように狡猾にこの世界を裏で操っていた。亀と蛇の神である玄武にそんな役割を与えたのはさすがだ。とても子供向けのゲームとは思えない深い設定である。
大陸世界のテーマは、「本当に大事なモノは何か」というのがメインであろう。3人の王は三者三様の結末を迎える。大事なモノを手放して本当に大切なモノに気づいた王。猜疑心で人を暴力で排除して大事なモノを守っていた王は、さらなる暴力によって大事なモノを命ともども奪われた。大事なモノに固執していた王は側近に裏切られた。
このゲームでは鎧の王が幸せになったが、女に入れ込んで幸せになれるとは限らない。
この世界での裏のテーマは「目に見えていることが真実とは限らない」ということだと個人的には思っている。一見平和な世界は実は戦争ばかりの世界であり、さらにその戦争も玄武が裏で糸をひいていた。
ここではいちいち説明する必要もないが、現実世界でもそうであるということは多くの人は知っている。政治、経済、歴史……。
何もかもが表向きのきれいごとと、表立って語られない真実がある。
だが、そうだとわかっていてもやはり表面的な情報に多くの人が振り回されてしまう。
大陸世界の住民たちは戦争が終わってほっとしているのだろう。結局、裏の支配者を知ることもなく、平和を享受している。塔の秘密に挑んでいった冒険者だけが真実に気づいたのだ。
魔界塔士サガは人間に問いかける。
「その情報は真実か?」と。